November 22, 2005

いいかい、ボーイ?

――では、MMA(総合格闘技)とプロレスリングのシュートマッチの一番の違いというのは何ですか?
ホッジ MMAというのは、以前はともかく、いまはルールを整えて、新しいスポーツとして歩もうとしてるんだろう?
――そうですね。
ホッジ でもシュートマッチはそうじゃない。自分がレスラーであるという背景がある以上、タップアウトさせる、首の骨を折る、いかなることをしても、その相手を【処理】せざるを得ない。シュートマッチというのはそういう【状況】なんだよ。
――【処理せざるを得ない状況】ですか……。
ホッジ いいかい? ボーイ。わかりやすく話そう。シューティングマッチというのは、俺が死ぬかお前が死ぬか、それだけだよ。本当にただそれだけなんだ。でも、俺は死にたくないよ。そして俺は相手が「生きていたい」っていうなら、生かしてやるよ。
――……。
ホッジ リングに上がる前に相手がこういうことを仕掛けてくる、それを知っていたら俺だって対処の仕方は全部知っているよ。そういった競技がMMAなのだろう。でもシュートマッチは違うんだよ。

kamipro最新号、鳥人ダニー・ホッジ(73歳)インタビューより抜粋


 みんな【処理】してる? 僕はまぁそこそこだよ、ボーイ。

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November 19, 2005

大久保通り25時

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 ショクシツ。
 警察官による職務質問。

 文字通りshockでshitsなそのイベントの
 参加資格について詳しくは知らない。
 が、歌舞伎町や大久保界隈では毎夜
 当たり前のように繰り広げられてるらしい。

 ただなにしろソレは
 シャブ中の通り魔以上に無差別で、
 『殺し屋1』に登場しそうな僕の上司
 でさえ(ルックスがだ、念のため)、
 10年を軽く超える新宿歴のなかで
 職質バージンを喪失したのは
 つい半年前だという。

 3日まえの夜、終電が近づく大久保通りを僕は早足で歩いていた。疲れきっててヘッドホンすらしてなかった。パトカーが通り過ぎた、と思ったら警察官が2人降りてきた。「すいませ~ん」とフレンドリーに近づいてきたが道は塞がれている。咄嗟にすべてを理解したが、僕は水野晴郎じゃないから彼らに用はなかった。

 でも中学生のころポリスアカデミーが好きだったから、アメリカンスタイルでかわそうと思った。両手をアタマの後ろで組んで壁を向いて足を広げた。通り過ぎる人々が何事かと凝視していく。警官たちはあわてた。「いやいや、そういうのじゃないんで」。いやコッチこそそーゆーのじゃないんで。

 警官A 「刃物とか持ってないか、調べさせてもらえませんか」
 警官B 「そのウエストバッグが、ちょっとね…」

 田舎育ちのたくましい指がファスナーをこじ開けた。
 痛かった。いや痛かったってマジで。分かるだろ? 

 当然刃物なんて入ってるわけなくて、出てきたのはサイフとかティッシュとかゴムとか。彼らが注目したのはミントの缶ケース。ハワイにいったときの土産で、かわいいバッファローのイラストと【BADASS MINT】って書いてある。フタまで開けさせられたんだけど、向こうのタブレットって大きいからなんていうか、まぁ、疑わしかったんだろうね。

 警官A 「…この錠剤は、、、ミン…ト?」
 オレ 「はぁ(笑)、ミントですよ間違いなく。食べるとスーッと気持ちよくなるんです」
 警官B 「…」
 オレ 「たったヒトツブでなんでもできるような気分に(笑)」
 警官B 「…悪い冗談はやめなさい」

 
 僕は5粒ぐらい自分の口に放り込んでバリボリ食べた。
 彼らにも勧めたたけど食べてくれなかったな。

 もちろん肩からさげてたトートの中もばっちり調べられた。アイスバーグ・スリムの「ピンプ」が一冊だけ。これは正直助かった。移動中の僕のカバンには約18%の確立で撮影用のバイブが入っている。当たり前だけどビンビンで。それはそのときどきで黒だったり紫だったり透明だったりするが、その色に意味やソウルはまったくない。会社でそこらへんに転がってるのを放りこむだけ。あえていうならそういうソウルだ。

 危険なものを持ってない男がこれ以上警官に引き止められる理由はなにもなかった。でも最後の質問で僕はヘマをやらかした。

 警官A 「君、この時間にここらで何を?」
 オレ 「いや、仕事の帰りっす」
 警官A 「仕事は何やってるの」
 オレ 「…サ、サラリーマン(なぜか小声に)」
 警官B 「えっ?」
 オレ 「へ、編集者…かも」
 警官B 「えぇ? なんなの(なぜか強気で)」
 オレ 「だーからサラリーマン編集者だよ!(なぜかヤケ気味に)」

 たしかに僕はスーツは着ていないけどサラリーマンであり、また、キャリアは無いに等しいが現時点では編集者でもある。だからといって『サラリーマン編集者』というのはヤバすぎないか。大体サラリーマン○○ってのは、何が後ろに来たってカッコ悪い。サラリーマンプロレスラーとか、サラリーマン寿司職人とか。普通の質問になぜか動転してしまった僕は、そんな最低のチームに仲間入りしたことを自ら言わされるハメになった。しかも最凶に最悪な大久保通りで。

 ようやく解放されて終電に飛び乗って、ウチへ帰ってまずポリアカのビデオは全部捨てた。3本しか持ってなかったんだけど。
 

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November 15, 2005

下流社会

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 大久保通りに座りこむホームレスの老婆が、
 なにやら編み物をしているのに気づいたのが
 先月の中旬ぐらい。

 最近になってその老婆がニット帽を被ってる。
 決していい出来ではないのだが、
 心の中で拍手した。下層に拍手。

 「下流社会」を読むといっそ下層(not下流)
 のほうがカッコいいような気もするが、
 それもまた違うのだ。

 ほんの一握りのホリエモン(上流)と
 その他大勢のフリーター(下流)しかなくなり、
 これまで大多数を占めていた中流が下流化する、

という話はなかなかリアルで面白い。どのくらいリアルかといえば「もうすぐ大地震が来る」っていうのと同じくらい。が、同時に新手の「ノストラダムスの大予言」だともいえないか。大学生バイトが【写るんです】でテキトーに撮ったような写真に、「シルバーシートで眠る若者」とか、「パチンコ屋の前に座りこむ男性の目の前をOLが颯爽と通り過ぎる」だとか、マトモな人間なら笑っちゃうようなキャプションが付いている。

 こんなのにビビってるようなヤツはどんだけ上流になろうと三流に違いない。別にどこを流れていてもいいから上流からカネを巻き上げなくちゃ。ヤツらが好むのはスゲーエロくて、スゲーくだらないこと。間違いない、これからは『女体盛り』がくる、絶対に。

 こないだ撮影してるときに、日サロ焼けした女の背中から尻にかけて、僕はローションをかけまくった。うつ伏せのソイツはまるでできたてのホットドッグみたいだった。あれがローションじゃなくてケチャップとマスタードだったら射精してたかも。とにかくスゲーエロくて、スゲーくだらなかった。『女体盛り』に拍手。

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November 03, 2005

徳川いれずみ師 責め地獄

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 冒頭、タイトルバックの処刑シーンで
 磔にされた女の股を槍でブスー。
 ギャアアアアーーー!
 ありえないほど大量の血を浴びる処刑人。
 多分ツカミなんだろうが、明らかにやりすぎ。
 しかもこのシーン、物語と一切関係ない。

 貧乏な由美は借金のカタに屋敷奉公へ。
 しかしそこの女はみな刺青を入れられ、
 レズ女衒のお龍に体を弄ばれるという、
 おそるべき変態売春屋敷だったのだ。

 由美に刺青を入れるのは彫師・彫秀。

 彫秀は燃えていた。師匠・彫五郎の娘、おすず(スゲーかわいい)と恋仲だったのだが、兄弟子・彫辰もおすずを狙っている。しかも彫五郎は将軍様上覧の刺青大会で勝ったほうにおすずをやると決めてしまったからサァ大変。結局この勝負は引き分けになるが、可哀想なのは彫秀に入魂のスミを入れられた由美で、緊縛師に犯されたり、それをレズ女衒に見つかって鉄の貞操帯をハメられたりする。しかもその鍵を緊縛師が飲み込んだまま殴り殺されてしまうので、夜中に墓を暴いて死体のハラを裂く。鍵を取り出し、「ようやく女に戻れる…」と思いきや鍵がポキリ。「あたし、どうしたらいいの…!」。由美には悪いが大爆笑。で、この墓場荒らしが見つかって由美は海上火あぶりの刑になる。

 兄弟子・彫辰はレズ女衒・お龍と悪徳役人・鮫島の口車に乗せられて師匠・彫五郎を殺害。しかも、おすず欲しさに罪を彫秀に被せて、島流しにする。お龍と鮫島は刺青女を彫辰に大量生産させて、長崎の人買い外人に売りつけようとマーケットを拡大。この外人がまたスゲーテキトーな日本語で、反乱を起こそうとする刺青女たちに「ツマラナイコトハ考エナイホウガイイデース」とかいう。おすずもまた彫秀に会わしてやるとダマされて長崎へ送られるが、結局毒を飲んで自殺する。島破りで長崎に逃れていた彫秀の怒りは頂点に達し、まずは人買い外人の一人娘・ハニーを突然誘拐する(関係ないのにスゲーかわいそう)。

 一方、お龍にヤク中にされた彫辰の刺青はトリップ度を増し、パーティーでお披露目になった白人女は明かりを消すと浮かび上がるサイケ仕様に。そこに殴りこんだ彫秀は、「彫辰、勝負だ!」とかいって誘拐したハニーの服をひん剥くと、なんとそこにもサイケ仕様の蛍光刺青。しかもこれが鳳凰のデザインで、裸のハニーに「翔べ!」と形態模写を強要する。それをみた彫辰は虚ろな目で「負けた…」。人買い外人は「ハヤクコノキチガイヲツカマエロ!」などと叫ぶが、もはや正気な人間など誰もいない世界。

 その後は彫秀が鮫島をメッタ刺し→殺られそうな彫秀をかばって彫辰が死ぬ→人買い外人もメッタ刺し、とドミノ式にみんな死んでいく。最後は屋敷が火に包まれ、残されたハニー(素っ裸で全身刺青)を見捨てて逃げようとする彫秀だが、突然死んだおすずの声がフラッシュバック。「いけないわ…、あなた、そんなことする人じゃない…」。そしてハニーを助け、「おまえみたいな優しい娘に取り返しのつかねぇことをしちまった、…すまねぇ」と、いまさらすぎる懺悔のなか焼け死ぬ。

 さて、一人だけ死ななかったレズ女衒・お龍もやっぱり捕まってて、コイツの処刑がラストシーン。逆バンジー方式で股裂きの刑となり、最後は体が真っ二つ。青空バックに血肉がはじけとび、そこにデッカイ『完』の文字。股にはじまり股に終わる、ジェットコースタームービーってこういうのを指すんじゃないでしょうか。


 新文芸座で『恐怖奇形人間』と2本立てだったこの『責め地獄』、うっかりアートだと勘違いされがちな前者に比べて、見世物に徹している点で潔く、ついついあらすじをすべて紹介してしまいました。とくに「将軍上覧の刺青大会」というクルクルパーな設定が素晴らしく、石井輝男はマジで天才だと思う。コレいまでいうラップバトルみたいなモンだから(全然違うかも)。

 昭和元禄と呼ばれた時代、女の裸はまだ特別なものだったし、だからこそ見世物になった。石井輝男はそこで「ハレンチ監督」とかレッテルを貼られながら、それでもみんなが見たくてしょうがないものをドロップし続けた。主演女優が失踪しても、助監督たちが撮影をボイコットしても負けなかった。そして輝男は「ジャパニーズ・セクスプロイテーションの父」になった。
 時は流れて平成元禄、セクスプロイテーションの役割を担ったのはAVと風俗だ。だから僕の仕事は石井輝男のスピリットを少なからず継承していると思うんだけど。…撮影中、背中に突き刺さる女王様のピンヒールの痛みを忘れるため、そんなことを考えたりした。やっぱりSMキライ。

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November 02, 2005

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

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 「巨星、堕つ」というべきだろう。
 石井輝男監督が死んだのだから。
 昭和元禄という日本の躍進期に、
 見世物バンザイなアティテュードで
 エロとグロをドロップしつづけた怪物。

 いま、池袋の新文芸座では追悼特集が組まれ、
 『恐怖奇形人間』を久々に観てきた。
 立ち見がでるほどの超満員で客層も若かった。

 いまは亡き大井町武蔵野館で観たときは
 土木作業員みたいなオッサンが多くて、
 ヤツらみんな気持ちよさそうに昼寝をしてた。

 で、スクリーンでは土方巽が暗黒舞踏を踊ってたり、吉田輝男が大マジメな顔で「どうしよう…!」とかいってた。オレは吹きだす寸前だったけど、マトモな大人になれる自信は無かったな。

 相変わらずラストの人間花火は表現しようのないシーンだった。「おかーさーーん」ってなんなんだろうなアレ。いまだにアレを正確に表現できてる人を見たことがない。フライヤーにもそんなフレーズが載っていたが、これは10年早い「地獄の黙示禄」なのだ。コッポラが戦争映画にかこつけて「映画で戦争」しちゃったように、テルちゃんも思い入れのある江戸川乱歩の小説を、それこそ奇形を産みだすようにパッチワークしちゃった。してみた。やってみた。その他この映画のデタラメな素晴らしさは大勢の人がいろんな言葉で語っているのでそちらを参照されたし。

 そしてミラクルが。
 その日、新文芸座へ行こうと思って電車に乗ったのだがなぜか途中下車したくなり、しばらく行ってなかったお気に入りの雑貨屋に寄ってみたところ、『恐怖奇形人間』のDVDを発見。タイトルだけでも反則なうえ、映像やセリフにも差別用語がふんだんに盛り込まれている(オレのお気に入りは【裏日本】)ため、正式にビデオ化・DVD化するのが不可能な作品である。当然粗悪な海賊版だが、それでもうれしかった。ネットオークションでもやたらと高額だったりするし。
 しかもジーズ、よく考えたら明日はオレの誕生日じゃねぇか!ってことになり、ずっとファンだったご褒美に、天国からの誕生日プレゼントだと勝手に決めつけた。
 昔、ウチの母親は健さん(高倉健)が大好きで、「でも『網走番外地』の監督は、『恐怖奇形人間』って狂った映画も撮ってるんだぜ」っていったら「そんなのウソ!」って本気で怒ってたな。

 「おかーーさーーーん!」 

 合掌。


 

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November 01, 2005

No Woman, No Cry

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 仕事で風俗の女のコに接するとき、
 必ず聞くことになる項目があって、
 それは、好きな男性のタイプ。

 そりゃオレも、安田美沙子みたいな女子に
 「え~、たとえばアナタみたいな…」
 とか言われてニヤニヤしてみたいものだが、
 現実にそんな夢精チックな話はない。

 いたとしてもそんなの、
 安田大サーカスみたいな女に違いないし、
 しかもきっと団長似。

 ともあれ、好きな男性のタイプを聞いてリアルに困るのが、
 「殴らない人」
 という回答。あのなぁ(優作風)、リアクションとれねーんだよ。
 「もこみちく~ん」とか「山ぴー」とか能天気にいってるバカよりは誠実なんだろうけど、それゆえピンプ・ゲームでは常に敗北する宿命にある。なによりコチラはそんな答えを望んでいないし、どちらかといったら山ぴーの方が正解に近い。

 で、そういうのに限って団長じゃなくて美沙子みたいなんだよな。

 

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September 27, 2005

山田優のトレーニングがラグジュアリー過ぎる件について

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 蹴るときにガードが下がるのは山田、
 オマエの悪いクセだ。

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September 15, 2005

このクソみたいな街を水洗便所みたいに流してくれ!

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 とは、映画「タクシードライバー」で主人公の
 トラヴィス(デ・ニーロ)が大統領候補に
 放ったセリフだが、
 どうやら大久保では立候補していたらしい。
 選挙活動は又吉イエスしか見なかったぞ!

 しかしこの界隈のファミレスときたら、どうして
 こんなムカムカする連中で溢れているんだろう。

 チンピラはもちろん、
 怪しい商売(絶対ネズミ講)の勧誘、
 ホストの彼氏の自慢話をする女、
 判定が微妙なコジキ(道路で寝てるのを見た)、
 フラダンス教室帰りのオバチャンたち、…オレ。

 たま~に見かける杉作J太郎が『掃き溜めにツル』に見えてしまうこと自体、もう異空間、いや亜空間。

 今日も隣の席では日韓2人のオッサンが商談(と呼んでいいのかさえ疑問)をこじらせている。●日までに数千万つくる予定らしいが、どうにも話が進展していない。片方がドリンクバーのお代わりに席を立つたび、もう片方が投げやりなタメ息をつく。韓国人の背中で骨をくわえているのはプリントされたガルフィーくんで、そのパーカーには『神出鬼没』、とある。こういった毒気を中和するためなのか、このファミレスはいつもボサノバとか軽妙なブラジルものを流しているのだが、それがまるで芳香剤を置きすぎたトイレのような逆効果に陥っている。

 しばらく話を聴いていたが、ナニで儲けようとしているのかすらハッキリ分からない。だが、それがいかなるビジネスだとしても彼らには数千万を作りだせる予感すらなく、またドリンクバーに立つたびに目標からは遠のいていくようにみえた。近くなるのはきっと小便だけで、オレのビーフシチューハンバーグはいつまでたっても味がしなかった。

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September 13, 2005

JB・顔ダニ

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 俺がJBだ!―ジェームズ・ブラウン自叙伝
 文春文庫  ジェームズ ブラウン (著),


 ムセかえるような気のかたまりが
 街を支配した、八月の台風の夜。
 オレが仕事で会ったイメクラ嬢は
 またもや『手相が見れる』などと
 不吉なことをアッピールしだした。
 そして、
 『30を過ぎてから唄がうまくなります』
 と、おみくじだったら【小吉】とでも
 書いてありそうな結論を下したのだ。


 気分が晴れないので帰りに渋谷のタワーレコードに寄ると、こんな台風の夜は何を聴いて過ごそうかと考えている連中で店内はごったがえして…いるわけもなく、また、せめてフィッシュマンズは全タイトル売り切れなんじゃないか? というオレの期待も当然裏切られていた。宇宙、日本、イメクラ。

 そして6階でたまたま手にとってしまったのがこのJB自叙伝というワケだ。
 しかし、あれから1ヶ月以上経つのにいまだに読んでいない。『俺 勝新太郎』、『のんのんばあとオレ』、『俺と悪魔のブルーズ』、、、【俺】とつくものは大体名著だと知っているにもかかわらずだ。
 そしてその原因は全て、この目次にある。


 1.死産の赤ん坊
 2.10セントのハーモニカ
 3.罪深き町オーガスタ
 4.売春婦と説教師
 5.1ドルのバトル・ロイヤル
 6.俺は絶対捕まらねぇ!
 7.刑務所
 8.監獄ロック
 9.仮釈放と神の歌
10.炎のフレイムス
11.ぶっちぎりのオーディション
12.リトル・リチャードに化ける
13.プリーズ・プリーズ・プリーズ
14.あいつを降ろせ! あいつを降ろせ!
15.トライ・ミー
16.アポロで奴を食え!
17.マント・ショーの誕生
18.銃と詐欺師とトラブルと
19.秒読み
20.ライブ・アット・ジ・アポロ
21.わめいて叫んで100万ドル
22.白人席/黒人席
23.ファンク!
24.性転換の噂
25.公民権運動
26.死ぬまでやるんだ
27.暴動
28.ベトナムでバーン、バーン、ボーン!
29.黒人と誇りと大声
30.国税局とFBI
31.略奪と炎のオーガスタ
32.ラス・ベガスをやっつけろ!
33.ヒップホップの原点
34.ニクソンの道化
35.税金なんてクソ食らえ
36.ディスコとの格闘
37.どん底
38.もうどうでもいいさ
39.ブルース・ブラザーズ
40.俺はジェームズ・ブラウンだ!

 どうですか? 目次を読んだだけでもうお腹いっぱいでしょう。とくにスゴいのが、6.【俺は絶対捕まらねぇ!】のあとにくる7.【刑務所】という3文字のソリッドすぎる説得感。俺は絶対捕まらねぇ!俺は絶対捕まらねぇ!俺は絶対捕まらねぇ! …刑務所。
 さらに8【監獄ロック】での早すぎる明るすぎる立ち直り(繰り返すけど本編は1ページも読んでない)。この目次6~8を繰り返し読んでるだけで血中ファンク度がモリモリ上昇してくるでしょう。28.【ベトナムでバーン、バーン、ボーン!】なんてまさか? JBが戦闘機で? 「ワルキューレ」の代わりに「ゲロッパ」で? とか余計なことを考えたくもなるのだ。つーか読む必要ないね。

 毎日のようにカバンに入れて出かけてはみるのだが一向に読まれないJB自叙伝。そうこうしてるうちにカトリーナはニューオリンズをフッ飛ばし、オレの街にも再び台風がやってきた。駅前ロータリーはまるでお台場みたいに波が打ち寄せ、膝丈までの池になっている。不動産屋の前で殴り合いのケンカをしているのは50代ぐらいのオッサンで、若い連中は楽しそうに靴を捨ててジャブジャブと池のなかに入っていく。これがロックフェス効果でなくていったい何だというのか?

 
 

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August 24, 2005

スローライフの温床から

images

 夕方からのカラカウア通りは一層にぎわう。
 道端で2mおきに何かしらのパフォーマンスが
 行われているからだ。

 ウクレレを持ったエルビス、
 偽ジャック・ジョンソン、
 コシ蓑をつけたパンダの着ぐるみ、
 パントマイム、
 風船で動物をつくるヤツ、
 偽ジャック・ジョンソン、
 おとぎ話のブリキ男、
 素人ドラム大会、
 少年少女スピリチュアル合唱団、
 中年女性アジテーター、
 偽ジャック・ジョンソン、、、

 それらを通り抜けて見に行ったホテルのショーは日系3世のジョン・ヒロカワによるマジックショーで、マジックの内容はともかく、ヒロカワの顔はまるで演歌歌手(もしくはイ・パクサ)のそれなのに英語が喋れない客席の日本人をネタにして笑いをとりまくるという図々しい男だった。
 帰り道もまだまだ通りは賑わってて、遠目からでも素人ドラム大会が異様なヒートをみせていた。近寄ってみるとさっきまでその2m向こうで直立不動だったブリキ男が物凄い勢いで叩きまくっている。そのあまりに唐突な上手さにみんな爆笑し、黒人なんかハイタッチまでして喜んでる。ここは平和の楽園、ハワイなのだ。

 ところで『ハワイ』に反語があるとしたら、それはきっと『ベガス』。
 ハワイに来る直前まで見ていて、戻ってからも真っ先に見たのが『バム・ファイト』だ。ベガス郊外に溢れているバム=ホームレスを酒代で釣って殴り合いさせたり、崖から転げ落としたり、小便を飲ませたり、とにかく思いつく限り最低なことをさせているDVD。よく『JACKASS』と一緒にされるけど、オレがあの番組に求めてるような「癒し」は一切なくて、はじめて咳止めシロップを一気飲みしたときみたく最低な気持ちにさせてくれる。
 ベガスの郊外は本当に【この世の果て】で、ホームレスはかような有様、金持ちは何をしているかといえば『ハンティング・フォー・バンビ』とかいって本当に女を狩っている。もちろんハワイにだって暗部は存在するんだろうが、それを気づかせないぐらいよくできている。ベガスに行ったときはちょっとした路地裏はもう冥府魔道につながっているのが分かったからね。ひょっとしたらブリンブリン(クラック中毒のラッパー)とはすれちがってるかもしれない。

 昼下がりにテレビをつけると、『JACKASS』のスティーヴォーがスニーカーのCMに出てきた。それはワニに噛まれてもちぎれないスニーカーで、後はまぁ予想どおりだったよ。バルコニーに出ると嘘みたいな色の海が輝いていて、下のほうでは夕方からの屋外パーティの準備が進められている。きっと誰かが結婚パーティでもやるんだろう、真っ白いテーブルクロスが潮風でパタパタ揺れていた。16階のここからあそこに墜落したらパーティーは中止になるかな? と一瞬考えて、あぁそういえばベガスの部屋にはバルコニーなんてなかったな、そういうわけか、と妙に納得した。
 

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